別館アルバトロスと黄金の泉: 占いの館

RWS版タロットの解説&オリジナルのタロットスプレッドを公開しています。
忙しかったりで更新頻度が低く、未だに色々と準備中。ぼちぼちコンテンツを追加していく予定。

2019年1月2日水曜日

【コラム】タロット鑑定士に向いてる人、そうじゃない人の違いとは?

 随分前に、そこそこ時間を掛けて書いた記事を消してしまっていたようで……。たった今、その事実に気付き、ショックを受けていますぅ……。

 新年早々になにやってんだ!って感じですが、引き摺ってもしゃーないんで、切り換えていきまっしょー!

「タロット鑑定士」に向いてる人って?


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 タロット鑑定士とか、タロット占断士とか、タロティストとか、そんな風に色んな呼び名がありますが。まあ要するに、タロットを用いて占いを行う人のことですね。

 そんなタロット鑑定士に向き、不向きがあるとしたら、それって何でしょう?

 霊感の、あるなしでしょうか?
 ……いや、これは一番どうでもいい事項ですね。

 なら、やる気とインスピレーション?
 まあ、これも必要ではありますが、そこまで重要でもない。

 ならば、一番重要なのは何か。それは言葉にするととても単純ですが、実際にはとっても難しいこと。

 知識量です。これはタロットに限らずすべての占術にいえることですが、占いというのは知識がものを言う世界です

 しかしタロットでいう【知識】とは何か。意外と、間違えてるひとが多いんですよね。

 これを間違えると、偉大な先人たちにきっと笑われますよ。

(以下、ライダー・ウェイト・スミス版デッキを前提とした話となります)

実はタロット鑑定を行うために、タロットの勉強をするのは無駄。ならば勉強すべきことは?


Today's one card #tarot - 9 of wands. Even if you've been knocked down, don't give up! Keep going no matter what! You have all the strength you need inside!

 ……なんて言われても、きっと「ハァ(゜д゜)?」ですよね。

 タロット占いをやるのに、タロットの知識がなくてどうするの? と思うのが普通でしょう。

 たとえばこのサイトにもあるような、カードの意味とか。一枚一枚の、正位置と逆位置の意味を全部暗記して……――

 それ、無駄です
 カードの意味を暗記しても、無駄です。

 何故ならば、タロットは試験じゃありません!

 模範解答が無いんです!! 

 たとえば「教皇」というカード。このカードの意味は正位置の場合、箇条書きで書くと以下のようになります。

  • 統率力
  • カリスマ性 (精神世界)
  • 道徳心、倫理観
  • 無償の奉仕
  • 集団秩序
  • 信頼度の向上 など

 けれども実際には、たったこれだけの文章を暗記しても役に立ちません。

 どうしてか? それはこのカードにそれら意味付けが為された理由、カードのバックボーン(=歴史)を理解したことにはならないからです

 「そのカードが持つ意味が、どうやって成立したのか」という歴史を知らなければ、真の理解は得られず、となれば場面に応じた臨機応変なリーディングというものは出来ません

 ならばタロット鑑定を行うために勉強すべきことは、何か。……答えは、分かりますよね?

 そう、歴史です。宗教史です。
 つまり、ありとあらゆるオカルトです。

 世界史を、古代エジプトの多神教時代から近代イギリスのオカルト再興ブームまで浚えば、もうパーフェクト。啓示宗教も必須なのでお忘れなく! 気が向いたら、メソポタミア~シュメール~バビロニアなんかも浚ってね! あとギリシア・ローマ神話も必須だよ、エジプトと切っても切り離せないからね!

 更に、RWS版デッキを使うなら「黄金の夜明け団」の功績、「象徴主義」というワードも欠かすことができません。特にパメラ・コールマン・スミスのアイディアが詰まった小アルカナは、様々なシンボルが散りばめられており、またパメラ・コールマン・スミスの友人である詩人ウィリアム・バトラー・イェイツの存在も無視できない以上、アイルランドの伝承も幅広く抑えておく必要があり、小アルカナの理解にアイルランドの伝承は欠かすことが……――

 と、まあ、お分かり頂けたでしょうか?

 タロットを理解するには、膨大な知識が必要です。

 同時に、その勉強を苦としない才能が求められます。要するに、ハマったら最後どこまでものめり込む【オタク能力】です。

じゃあ、タロットに向いてる人って?


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 「タロットには興味あるけど、世界史なんて……」と思ったそこのアナタ。そう思うなら、この世界に手を出さないほうがいい。

 「へー、なんか楽しそう!」と思ったアナタは、手始めにエジプト神話を浚って、そしてアーサー王伝説にも手を出してみよう。

 「神話? 宗教? オカルト? 古今東西問わず大好物なんだけど!」と思ったそこのオタク。貴様はタロットデッキを購入せよ、今すぐだ!

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 つまりですねー。もう↑に結論が出てるんだけど、タロット鑑定士に向いてる人っていうのは「オカルトマニア、ないしオカルトオタク」です。

 世界史、宗教学、民俗学、人類学、考古学などなど。広い人文科学系の知識神秘主義に対する理解のある人間は、霊感なんてなくとも優れたタロット鑑定士になれるでしょう。

 逆に「タロットカードから霊感で読み取るの♥」に憧れている方々に、タロットは本当にオススメしません。霊感タロットなんて、だいたい嘘っぱちですから(個人的意見)。

 ……本当に霊感あるなら、そもそもタロットなんて道具はいらないはずだし……。

 そういうわけで、オカルトオタクのみんな! ためしにタロットデッキに触れてみよ! 絶対に、わくわくすっぞ!

オマケ。RWS版で抑えておくべき最低限の知識。


【大アルカナ】

  • 啓示宗教、教義と聖典をざっくり
  • キリスト教神秘主義
  • 西洋星占術、黄道12星座のあれこれ
  • 北欧神話
  • ギリシア・ローマ神話
  • エジプト神話
  • (カバラ数秘術)

【小アルカナ】

  • 火水風地の四元素
  • 象徴主義、アレゴリー
  • アーサー王伝説群、中でも聖杯伝説
  • アイルランド神話、特に神話サイクルとアルスターサイクル

【小アルカナの理解における前提知識 (独自解釈)】

  • 「火」=「ワンド」=「ルーの槍」≒「聖槍」
  • 「水」=「カップ」=「ダグザの大釜」≒「聖杯」
  • 「風」=「ソード」=「ヌアザの剣」≒「聖剣」
  • 「地」=「ペンタクル」=「運命の石」≒「危難の座」

 「これぐらい常識でしょ?」って思った人は、本当にタロットデッキを手にとって欲しい。新たな世界が見えてくる、はず!