別館アルバトロスと黄金の泉: 占いの館

RWS版タロットの解説&オリジナルのタロットスプレッドを公開しています。
忙しかったりで更新頻度が低く、未だに色々と準備中。ぼちぼちコンテンツを追加していく予定。

2020年1月12日日曜日

【大アルカナ】力 - Strength


Ⅷ - Strength

   キーワード : 忍耐強さ、行くべき方向へ導く者、真っ直ぐな信念、寛大、力

(お久しぶりすぎる更新でゴメンナサイ!)

 「力」の他にも、「剛毅」や「力士」など色々と和名のあるカードが、この8番「Strength」。それだけ、この「Strength」っていう単語の和訳が難しいってことなんです。

 たとえば、力モリモリ系の英単語で真っ先に思いつくのは「Power」だと思うのですが、こちらはどちらかというと「物理的な強さ」とか「一方的にねじ伏せてくるような巨大な力」みたいな意味合いが主にあります。なので筋肉ムキムキなレスラーは「Powerful」ですし、公権力や軍事力には「Power」という言葉が宛がわれたりしますよね。

 ※1: ただし、軍事力や武力においての強さは「Might」が宛がわれることの方が一般的? 思えば映画化もされたMarvelの人気コミックスシリーズ「The Mighty Thor(マイティ・ソー)」は"Mighty"であるし……。

 そして「Strength」はどういう意味合いになるのかというと、こちらは「耐久力」とか「精神的なタフさ」とか、そういう意味が強くなってきます。勿論、単純に「ちからー!」みたいな意味で使われることもありますけど、「耐えられる力」みたいな意味が強いのかな(と、個人的には思っている)。

 そんな「Strength」という名前を冠したカードが、上の画像でございます。それでは、ここからはいつも通りに解説していきましょー。

 前回の記事で扱った「戦車」が、いわば「ただ前進しようとするエネルギー」を意味するならば、こちらは「力およびエネルギーを、巧みにコントロールする手」って感じでしょう。このカードは、特定のある人物を指したり、または質問者の状態を指すものとして登場することが多かったりします。

 そしてカードの絵を見てもらえれば一発で分かると思いますが、このカードは「女性的な強さ」を表すものとされています。ただし女性的な強さといっても、「女帝」のような、どっしりと構えた"オカン"的な、大口を開けて「どうにかなるわよ!」って笑いながら、背中を押してくれるような感じの雰囲気とは、ちょっと違う感じですね。

 いうなれば「力」は、言葉巧みに旦那を操る、スマートな"嫁さん"って感じの強さです。大和なでしこのような、というか。ダメダメな旦那を優しい言葉でおだてて、その気にさせて仕事に集中させる、昭和初期の"理想のお嫁さん像"というか。そんな感じの雰囲気ですよ。

 ここでカードを見てみましょう。カードに描かれている女性は、ライオンが誰かに噛みついて怪我をさせないように、ライオンの口を閉ざそうとしているところです。ライオンとは力の象徴。そのライオンを、女性がコントロールしようとしているのが分かると思います。で、ライオンを見てください。

 飼い主にベタベタ甘える大型犬、みたいな雰囲気ですよね?

 ライオンの口を閉じようとしている女性も、力をいっぱい込めて「ぐぬぬぬ……この野郎、閉まりやがれぇ……クソッ!!」っていう殺気立った感じではなく「おくちを閉じましょうね~♪ あ~ら、よく出来たじゃないの。Good boy!」とか言ってそうな雰囲気です。優しく諭すような感じ、と言えば分かりやすいでしょうか。

 それから、カードの背景を見てください。風ひとつ吹いていないような、穏やかな雰囲気ですよね。そこからこのカードは、「穏やかな人柄」とか「特に喧嘩とかが起きない、穏やかな空気感」ということも表します。

 要するに、このカードが表すのは「優しい言葉や真摯な態度を用いて、他者や状況を自分の望む方向にコロコロと転がせる能力※ただし、win-winの良い方向なのです。

 そして逆位置の場合は「自分本位に行動している上に、他者に何も配慮していない状態。および、そういう性格の人物」または「自分本位な行動が仇で、四面楚歌な状態になりかけてる状況」を意味します。逆位置だと他にも、「人の話を聞こうとしない姿勢」という意味でも登場しますね。

 なのでこのカードが逆位置に出てくると「今は優しい言葉が求められている状況です。でもあなたはそれが出来ていないよね? ……周囲の人々は、そんなあなたに苛立ってますし、たぶん相当嫌われてるよっていう状況であったりします。正位置で出てきた場合には「今のあなたには、それが出来ている。だから今後もその姿勢と態度をキープし続けてね」って意味になります。


 やっぱり人間は、優しい言葉が好きです。優しくしてくれる人を、好きになります。そして優しくしてくれる人には、その恩に報いたいと思うものです。――つまり。その性質を逆手にとって利用しろ、ってことです。

 ごめん、うそです。黒い本音が漏れた

 常に相手を思いやり、労わりなさい。
 誠実な態度で接し、厳しい言葉よりも優しさを与えなさい。
 人の意見をよく聞きなさい、そして最後に自分の意見を言うのです。
 そうすることにより初めて、信頼というものが生まれます。

 ……ってことなのです、このカードの意味って。

 というわけで正位置の場合は「思いやりの心を忘れずに、謙虚な言動を心掛ければ、人が必ずついて来てくれること」を意味し、逆位置の場合は「傲岸不遜な言動が目立ち、信頼を無くしつつある状況」を示します。

 また状況を示す場所にこのカードが出てきた時には「優しく、且つ真摯で誠実な態度を取ることにより、事態が開けてくる暗示」という意味になります。そして場合によっては、「協力者の出現の予兆」を意味する時があります。





【正位置】 温和な姿勢が味方を呼び、目標を実現させる。
  力、意思、勇気、忍耐、精神的な強さ、情熱的な恋愛の前触れ、深い思いやりの心。
  • 優しさに溢れています。それでいて打たれ強い。今のあなたは、まさに頼りになる人です。
  • 今は目標に向かって、前向きに歩みを進めています。あなたなら、きっと大丈夫です。このまま自信を持って、信じる道を進んでください。
  • 揺らがぬ信念と姿勢。その背に触発され、あなたの後ろに協力者が現れようとしています。なのでその姿勢を維持しましょう。それがあなたの「強さ」なのですから。
  • 目の前にいる相手を信じて、受け入れましょう。その人は、あなたの味方になってくれる人ですから。
  • あなたをサポートしてくれている人が居ます。心が温かく、優しくて、どっしりと構えているような人物です。その人に、ちゃんと感謝は伝えていますか?

【逆位置】 悪い方向に大きな力が働き、失敗を招く。
  放棄、無理、妥協、自信喪失、空回りなお節介、自意識過剰、過信からの大失敗。
  • 自分だけでどうにかしようとしないで下さい、そんなのは無理に決まってます。なので頑固にならず、プライドは捨てて、正直に助けを求めるべきです。
  • 大きな障害を目の前にして、潰されてしまいそうな気分ですか? でもここで諦めたら、全てが台無しになります。もう少し耐えてみて。
  • 今は自信が揺らいでいて、とても辛いかもしれません。でもそれは今だけの感情。ぐっと耐えて、今まで通りに努力を重ねましょう。あなたの努力に気づいてくれる人が出てきます。
  • 何事も自分の思い通りにしようとすれば、誰かからの反感を買うだけです。無理強いは決してダメ。時には妥協することも必要ですし、まずは相手の意見を聴くようにして下さい。
  • 協力者があなたから離れていっているようです。どうやらあなたの傲岸不遜な態度に、辟易している様子。速やかに態度を改めないと、どんどん人があなたから離れていきますよ。