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2018年9月25日火曜日

【大アルカナ】教皇 - The Hierophant


Ⅴ - The Hierophant

教皇 または 法王  キーワード : 正義感と社会性、統率する者、理知、扇動、老獪

(私を除いた家族全員がディズ〇ーランドに遊びに行っていてヒマなので、2ヶ月ぶりに更新してみたり……)

 「女教皇」と「女帝」が「未熟で不安定な少女と、成熟した肝っ玉母さん」というかたちで対になるように、この「教皇」というカードは「皇帝」と対になるカードです。
 が、しかし「教皇」と「皇帝」の関係性は、女教皇と女帝のそれとは少し異なっています。

 基本的にこのカードは、精神世界・浮世における男性の役割(皇帝とは対照的なカード)と理性を司り、社会において模範的な態度を取ることの大切さ説く存在です。

 「皇帝」が"家庭を持つ父親"であるならば、「教皇」は世俗的な父親としての役目を果たしたあとの、"隠居した老人"のようなものでしょうか?
 または「皇帝」が社会で言うところの"為政者"や"会長/社長"というものだとすれば、「教皇」は"思想家/学者"、または文字通りの"宗教指導者"となるでしょう。

 つまり教皇も皇帝も「人の上に立ち、人を導く」という特徴を持っていますが、その方法・性格が微妙に異なるのです。皇帝が「自ら率先して動いたり、雄弁な言葉(=主に口頭)により意思を顕し、その背中で人々を導く」のならば、教皇は「自らは動かないが、諭すような言葉(=主に文章・詩)で意思を表現し、人々を思想で扇動する」存在といえるでしょう。

 教皇のその特性は「隠者」にも通じるものがありますが、隠者は自ら積極的に思想を発信するような真似はしませんからね。ご隠居のように思えて、実際はまだまだ目立ちたがり屋、というのが「教皇」なのかもしれません。

 教皇の前には、剃髪をしたおよそ司祭と思われる二人組の男が跪いています。わざわざ言うまでもありませんが、彼がこの二人の上に立つ存在=権力者・教皇である、ということが分かるでしょう。跪く二人よりも、教皇のほうが大きく描かれていることからも、そのことが窺えます。それに彼が頭に被っている帽子や着ているガウンは、教皇の証ですからね。彼は間違いなく、教皇でしょう。自分を神だと勘違いした、老害ジジィとも読めますがね!

 そして彼の足元にある、クロスした二本の鍵は「天国の鍵」であるとされています。天国の鍵とはそのまま天国の門を開け閉めするためのもので、まあ聖ペテロがイエスより賜り、教会が管理しているとされているものです。要はあの鍵、教会そのものを象徴するものですね。
 そしてカードに描かれた教皇は、この鍵を管理する存在、つまり天国の門の番人といえるでしょう。そう、彼こそまさに教皇なのだ!

 そしてそして、彼の背景にある二本の柱。この柱は要するに日本でいうところの「鳥居」のようなもので、あの世とこの世を隔てる結界のようなものだとされています。そんなわけで教皇の後ろにある柱ですが……――灰色、ですね。そして更に後ろにある背景も、灰色の壁です。

 二本の柱といえば「女教皇」にもそんなものが描かれていましたが、女教皇の背景に描かれているのは白と黒の柱、そして一面に広がる静かな海という背景でした。が、教皇の背景にあるものは灰色ばかりですし、どうも人工物くさいです。女教皇の背景にあるような、超自然的な気配はからきしありません。

 これに関しては、色々と意見があります。が、私個人はこう思っています。女教皇の背後にあるのは「見えない世界の景色=天国または黄泉」で、教皇の背後にあるのは「現実の教会=所詮は世俗のもの」だと。そうです、「教皇」は「女教皇」とも対になっているのです! 女教皇はピュアで穢れを知らない存在であるのに対し、教皇はピュアとは程遠くて穢れに穢れまくったクソジジィってことですね!!(諸説あり)

(諸説あり)

女教皇はその純粋さ故に、直感的に「別世界」の存在を理解していますが、教皇の背後はただの「壁」ですから、結局のところ彼は俗物だということでしょう。皇帝ほど英雄志向ではないですが、目立ちたがり屋さんであることは間違いないですからね。現世で名を上げたいのですよ。教皇とて俗のものなんですよ。

 しかし……これは、本当に私独自のリーディングです。かなり、うがった見方をしています。一般的とされているリーディングには、教皇は「懐の篤い人徳者」だったり「民衆をより良い道へと導く存在」だとかされています。が、私は基本的に「上辺だけの優しさを取り繕う、冷たい人」やら「自分の思い通りに人を動かそうとする要注意人物」とか読んでます。まあ世間一般的な見方をするか、この穿った見方を採用するかは、あなた次第でしょう。

 そんなわけでこの「教皇」というカード、下した決断に対して真意を問う際によく登場するカードです。

 正位置の場合は世間的にそれが正しい選択であるだろうことを示唆し、逆位置の場合は倫理や道徳が欠如している状態であることを示します。

 また教会という「組織」を象徴するカードですので、「集団」や「社会」を象徴するカードでもあります。組織や集団をなす歯車のひとつとして、あなたはどういう行いをすべきなのだろうか、という問いを投げかけてきたりもします。

 また「昔ながらの規則や秩序を重んじる/変化を嫌う、多様性を認めない」という側面を持つカードです。その時々の状況に応じて、肯定的だったり否定的だったりと大きく意味が変わりますので、リーディングの難しい一枚です。

 そして術者が、宗派を問わず教会およびキリスト教をどう思うか、肯定的に見るか否定的に見るかによって、意味もまた変わってくるでしょう。私は言わずもがな、教会に関しては「所詮、俗物だろうがァッ! 神父も牧師も枢機卿も他にも、マネーロンダリングやら性犯罪者やらがあまりにも多いのがその証拠だろッ!」と否定的な見方をしています。





【正位置】 決断には正しさを、行動には理性が求められる。
  人の上に立つ役職。模範的存在。大人な対応。カッチリとした秩序や規則。
  • 特にこれといった問題もなく、落ち着いた状況です。あなたは現状をしっかりコントロールできているといえます。
  • あなたはまさに、模範的な存在であるといえるでしょう。現状のキープを怠らずに。
  • 誠実な対応を忘れてはいけませんよ。少しの油断が、将来の大きな歪みに繋がります。
  • 人の意見には、耳を傾けて聞いておくに越したことはありません。あなたの目には見えていなかった意外な見落としが、そこから見つかったりもします。
  • もし他の誰かの間違いを糺さなければいけないのなら、やり方には注意してください。感情や暴力に訴えるようなことはせず、理性的に、そしてスマートに解決するよう努めてください。(※独自解釈)
  • 少し過剰と思われるくらい慎重に、冷静に理知的に振る舞ったほうが良いかも。そんなあなたを信用して、人はあなたについてくるのですから。(※独自解釈)

【逆位置】 独善的な言動により信頼を失う。
  人の上に立つ器ではない。独善的。詐欺師や霊感商法。裏表のある現状。
  • その計画や行動は、誰のためのものですか? あなたの醜い欲を満たすためだけに、他者を一方的に利用することが許されるとでも?
  • 現状に不満があるから、それを変えるために誰かを糾弾する。……そんな波風を立てる前に、考えてみて。本当に改めるべきは、あなた自身の心では?
  • 責任ある立場であるからこそ、謙虚さや冷静さが求められます。決して驕ってはいけません。今は我慢の時です。
  • お財布のひもが、緩くなってませんか? きちっと管理しないと、後で痛い目をみますよ?
  • その相手は、本当に信用していい相手なのでしょうか? あなたを騙そうとして近寄ってきた、邪悪な人物である可能性があります。(※独自解釈)
  • それは今の時代にはそぐわない、古くて錆びついた価値観です。あなたがそれに違和感を覚えるなら、無理に従う必要はありません。(※独自解釈)